明治大学商学部 宮下英大

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宮下英大

1人暮らし調査2回目の報告は「省略食い」についてです。「省略食い」とは、食後の片づけが面倒なときによく行われている行為です。たとえば焼きそばを作っていてお皿に盛り付けるのが面倒くさくなり、フライパンを皿代わりに食べてしまうといった行動です。これはよく見られるケースですが、上級者はさらにユニークな食べ方をします。次がその様子を記述したノートからの抜粋です。

フィールドノート①(2015615日、1人暮らしの大学生Aの自宅)

うどんの茹で上がりを2秒ほど目測して、小さいステンレスザルを水切り棚から取り出した。うどんをフライパンからザルに移す。Aは右手にフライパン、左手にザルを持ち、水切りを行った。Aはテーブルの上に置いてあったタッパーをキッチンに持ってきて、ザルからうどんをそれに移し、再びテーブルの上に置いた。立ち上がったまま、残していた明太子をタッパーのうどんの上に乗せ、余った明太子を冷蔵庫にしまった。

  観察対象者はタッパーにうどんを入れる前に、同じタッパーでご飯やポテトサラダを食べている。

これは食器の量を減らすために皿を使いまわすパターンです。途中で洗うわけでもなく3回連続で使用しています。

 

フィールドノート② (2015612日、1人暮らしの大学生Bの自宅)

オムレツを半分ほど食べると、さきほどセブンイレブンで買ってきた千切りキャベツを床に置いてあるレジ袋から取り出す。「冷蔵庫で冷やせば良かったのに」と観察者が言ったが、気にしていないようだ。家にドレッシングはあったはずだが、別売りの和風ドレッシングを買っていた。袋にドレッシングをいれる。キャベツの量が多くドレッシングがなじんでいないが気にせず、箸で食べている。

  「カット物の野菜とか果物って体に悪そう、添加物とか保存料のせいで」と言って、しばらくその話をした。が、「結局一回分で便利だから買っちゃう」とBは言う。机が狭いのか取りやすいのかわからないが、キャベツは必ず地面に置いてあった。ドレッシングが底に溜まってしまったので袋を振っていた。やはりキャベツに飽きてきたのか、キャベツにオムレツのたれをつけて食べ始める。

以上のように、買ってきた食品を包装のまま食卓に並べてしまうという行動が、1人暮らしの大学生の間で繰り返し観察されました。この方法を使えば食べた後にゴミ箱に捨てるだけなので、片付けの手間が大幅に省けるからです。

観察結果から、1人暮らしの大学生が食器の片付けを極力避けようとしていることがわかります。たとえば、大学祭で使われなかった割箸やトレイを持ち帰ることも、片付けを省略したいという欲求の表れでしょう。

 

環境に配慮しつつ、包装のままでも不便なく食べられるよう工夫されている商品があれば、1人暮らしの若者から支持を得られるのではないでしょうか。

 

 

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