「リムジンパーティー」

…華やかなドレスで身を装い、高級車リムジンをレンタルして都内などをめぐるもの

  明治大学商学部   加藤木丈

 明治大学商学部

 加藤木丈

 

前回の記事では、リムジンパーティーの豪華さ、それを楽しむ若者の反応を見ました。リムジンパーティーに参加する女子たちは何を求めているのでしょうか。

 

「セレブさ」は求めていない

 

リムジンパーティーの動機を明らかにするため、参加女性たちにインタビューを行いました。まず、今回のリムジンパーティーを企画したAさん(20歳・女性・都内在住)。どうやら、若者はセレブになりたいからリムジンパーティーに参加しているわけではないようです。

 

Q:リムジンパーティーについて、どうやって認知しましたか。

A:テレビやSNSで見ました。それからやってみたいと思ってた。

 

Q:リムジンパーティーのどのような点に「楽しい」と感じますか。

A:綺麗なドレスに身を包み、豪華な装飾に囲まれて、贅沢なことをすること。また、その姿を撮影することが主な活動だと思っています。

 

Q:金額についてはどのように感じていますか(会費は一人当たり7000円)。

A:ドレスの購入を含めると2〜3万円。この金額は、一時間半という時間に対して高額すぎると思う。本当は、髪の毛のセットを美容院で頼もうと思ったが、2〜3万円を超える出費は避けたかったので、友達に頼むことにしました。

 

Q:そもそもセレブになりたいですか。

A:それはない。最初にリムジンパーティーをやろうと思ったのは、クーポン券をもらったから。クーポン券がなければやらなかったですね。

 

Q:なぜSNSに写真を投稿したのですか。

A:あまり意識したことはないんです。するのが普通だと感じている。強いて言うならノリかな。

 

「綺麗」「豪華」「贅沢」という言葉からリムジンパーティーの楽しみは、非日常感であることがわかります。その一方で、リムジンパーティーの費用は、非常に高額で、パーティーの時間の割にあっておらず、Aさんはどうにかして低く抑えようと努力をしています。その方法は、セルフで済ませる・友達に協力してもらう・友達の物を借りるなど様々です。

上図はAさんの写真です。確かに、ティアラをつけているとこから、高級さが伝わってきます。

 

 また、彼女は、リムジンパーティーが非日常に満たされた物でありながら、「セレブな自分」は目的としておらず、クーポンがなければ参加しないと述べています。原田曜平氏の『パリピ経済 パーティーピープルが市場を動かす』(新潮新書)では、リムジンパーティーはすでに時代遅れだという指摘がなされています。すでにたくさんのメディアに取り上げられているリムジンパーティーは、トレンドといってもかなりマス的な物と言えます。つまり、「みんながやっているから、一応経験しておく」という意識が、「セレブさ」を求めない理由の一つかもしれません。

 

 つまり、金額上の「無理」がありながらも、「とりあえず経験しておく」という意識のもとでリムジンパーティーに参加していることがわかります。

 

 

「自己ブランディングを高める」ためのリムジンパーティー

 

一方、リムジンパーティーをめぐる一連の出来事は、メディア・SNSを通じた認知に始まり、SNS投稿に収束しています。

 

 スマホアプリ発達により、写真や動画を見たり撮ったり送ったりというビジュアルを活かした情報行動(ビジュアルコミュニケーション)が定着しており、ニーズに合わせたビジュアルコミュニケーションの使い分けがされていると指摘されています。(「電通報『なぜ若者は写真アプリに夢中になるのか、その利用実態から見えてきたこと』URL: http://dentsu-ho.com/articles/3519」)

 

 さらに、ビジュアルコミュニケーションには、「スタイルなければアテンションなし」といいます。若者にとってSNSは、自己ブランディングを発信する場であり、SNS映えするモノ・コトが、若者の行動を決定づける重要な行動指標になっているというのです。そこから、ユーザー同士が欲望や憧れを喚起しあい、見た人に行動を起こさせているわけです。

 

 以上を踏まえると、Aさんが、リムジンパーティーの楽しみとして「撮影すること」をあげたのは、ビジュアルコミュニケーションの「シェア」「誇示」を目的としているからだといえます。リムジンパーティーという豪華絢爛な「モノ」を楽しんでいる自分は、まさしくSNS上での自己ブランディングを高める、うってつけな手段というわけです。

 

 

「コト」消費のSNS消費を、広告に活用する

 

要するに、若者のリムジンパーティーは、次の3点がポイントになります。

 

    若者は、リムジンパーティーで非日常を楽しみ、それを撮影している。

    リムジンパーティーには、金額上の「無理」が生じている。

    SNS上でリムジンパーティーを楽しむ自分を「誇示」し、自己ブランディングを高めようとしている。

 

この3点を踏まえると、リムジンパーティーは手段にすぎません。

 

今の若者の多くにとっては、とにかく自己ブランディングが大切。若者向けの商品を宣伝するには、どれだけ自己ブランドを高められるのかを示すことが重要です。たとえば、過去のユーザーがSNSに投稿した写真などを、企業のオフィシャルサイトに掲載するサービスを展開してみてはどうでしょうか。

 

過去の利用ユーザーがSNSに投稿した内容を掲載することで、口コミのような他の利用ユーザーからの声を反映できます。また、その投稿が高い自己ブランディングを示していれば、多くの若者が利用したいと考えるでしょう。

 

若者とSNSは、切っても切り離せない関係。若者自身のSNS投稿を使った広告は、若者の消費意欲を喚起できるのではないでしょうか

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