明治大学商学部 原 まり子

明治大学商学部

原 まり子

SNSに広がる「食べ物の写真をアップする」文化

 

みなさんも、レストランでシャッター音を耳にしたことが1度はあるのではないでしょうか。リクルートスタイルの調査によると、SNS定期利用者のうち、1年以内に食べ物や外食風景の写真を投稿した人は27.7%にも上ります。また、投稿者の7.8%は1日1回以上投稿しており、食事風景の投稿が生活の一部となっているようです。

「飯テロ」という言葉があるように、SNSを利用していると、意図せずとも食べ物の写真が目に入ってしまいます。また、自分も写真を投稿するために、写真映えする食べ物の情報を集めがちです。

調査から、このSNS利用が、体重に影響を与えている可能性が浮かびあがりました。そこで今回は、「ダイエットをしているのに痩せられない人」の日常について報告します。

SNSで食事量が増える

春子さん(仮名)は都内の大学に通う女性。彼女は、長期間ダイエットを続けているのに痩せられません。

(2016年4月14日 友人のヒカリさんと食事に行く春子さんの様子 フィールドノートより抜粋)

 歩いている途中、春子の友人A子と出会う。「A子、足ほそーい!」と、足の細さを褒めた。A子も ダイエット中のようで、「今日も食事頑張ったんだー!ほら、ヘルシー」と今日彼女が食べたサラダの写真をスマホで見せた。

 

 

「このパンもふすまパンだから糖質低いの!」とA子は嬉しそうに話す。春子は、ふすまパンのことを知らなかったらしく、「意識高い」と言った。A子はInstagramやTwitterに食べ物の写真ばかりあげるので、みんなが彼女のことを歩く食べログと呼んでいる。

春子は何か食べたそうにみえた。ヒカリが、コーヒーショップか今のお店のどちらかに行く?と聞いた。春子は、「A子から聞いたお店もありだなー」と答えたのでその店に向かうことにした。ダイエットのため、食べない予定だったのに。

……店に着くと椅子がなく、のんびりできないことがわかった。しかし、駅から結構歩いたので、この店で食べてから、コーヒーでも飲みに行こうということになった。

春子は馬肉が好きらしく、ローストホースのサラダにした。Sサイズとレギュラーサイズで迷うも、お腹が空いているらしく、レギュラーサイズを注文した。春子はSNS用にサラダの写真を撮った。「上空から撮ると影が入るんだよな〜」とブツブツ言いながら構図を適当に決め、撮り終わると食べ始める。

ドレッシングも全てかけた。食べている間も食事ではなく恋愛事情について話していた。

 

(次の店で)

店に着くと、春子は「わーディープー」と適当なコメントを述べ着席。「食べる?」とヒカリが聞くと、食べない、と答えたが、メニューが来た瞬間いくつか言い訳を述べ始めた。

春子は「いやー今は自分に甘い時期。食べる日は食べよー」と言ってチョコレートケーキとコーヒーを頼んだ。「昨日甘いものはもう食べないって言ったばかりなのになーあーやだ」、とブツブツ言いながら写真を撮った。

 

 

 

それでもSNSはやめられない

撮影に慣れている様子から、春子さんにとっては食べ物の写真をSNSにアップすることが習慣になっていることがわかります。

 このように、SNSで食べ物の写真を頻繁に見たりアップしたりしている人は、それが原因で食べすぎる傾向が見られました。しかし、春子さんはそのことに気づいていません。SNSを使うことが当たり前になっているので、それを辞めるという発想が生まれないのです。

食べ物の写真をアップする習慣の無い人にとっては、自ら太りやすい環境に身を置いている姿は滑稽に見えるかもしれません。しかし彼女にとっては、このライフスタイルが「普通」なのです。

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