明治大学商学部 新井雛乃

明治大学商学部
新井雛乃

恋愛ゲームにはまる若者の心理とは?恋愛ゲームにはまる男性の話はよく聞きますが、今は若い女性もバーチャルな彼氏と恋愛をするのです。ではどのようにゲームの中のキャラクターと恋愛をしているのでしょうか。今回はその実情を探ります。

調査に協力してくれた2人の女性

みなみさん(仮名、20 代)は都内の大学に通う女性。現在ジュースバーでアルバイトをしており、趣味はカラオケ。りえさん(仮名、20 代)は現在カフェでアルバイトをしている女性。趣味はドラマ鑑賞とゲーム。

二次元の恋愛では声にときめく!?

プレイヤーは二次元の恋人のどの要素にときめきを感じるのでしょうか。プレイヤーはビジュアルよりもキャラクターの声にときめくようです。

このことはフィールドノーツからわかります。

(みなみさん)「聖川 真斗」の言葉はほとんどが音声なしの文字だけで進んでいくが時々、音声ありになる。A は「声は聞いちゃうんだよねぇ。」と嬉しそうに言う。

(りえさん) 「好きな人の声は聴きたいよね。」

(フィールドノーツより引用、以下同じ)

画面の中だけの出来事が現実の世界にも

みなみさんは好きなキャラの誕生日会をしたり、自分で加工して 2 ショット写真(下の写真参照)を作ったりしています。これはみなみさんの成人式の写真と好きなキャラの画像を加工したものです。

(みなみさん)「好きなキャラの誕生日とかって覚えてるの?」

という質問に、みなみさんは

「うん、毎年祝ってるよ。」

みなみさんは好きなキャラクターの誕生日になると、そのキャラの好物を作ったり、買ったりして誕生日会を開きます。去年はティラミスを手作りして、焼きそばパンを買ったそうです。そのキャラのグッズと好物を並べてお祝いをします。もちろんこれは一人で行うのでキャラの好物は一人で食べるそうです。

ひなの2.JPG

一方、りえさんは恋愛ゲームの中のアイドルグループのCD を買っています(上の写真)。ゲームの中の二つのアイドルチームのどちらの新曲を見たいか投票して、投票数の多いほうの曲が配信され、それが CD としても発売されます。りえさんは、この CD を予約して購入しました。届いた時間が、家を出る時間ぎりぎりだったので、ミュージックプレイヤーに入れるとアルバイトに遅れそうでした。しかし帰ってくるまで待てずに急いでミ

ュージックプレイヤーに入れたと話してくれました。それほど CD の発売はりえさんにとって心待ちにしていたものだったようです。

ときめきしかないと思いきや冷めた一面も

恋愛ゲームに熱中している時は常にときめいているのではと思いきや、必ずしもそうではないようです。今回の観察では次のような場面がでてきました。

(みなみさん)「愛の共同作業」という単語に「気持ちわるっ。」と突っ込みつつ言う。

「キュンポイントなんだろうけど笑える、こいつら毎日会わないと気が済まないのかよ。」

(りえさん) 「とおる君が好きだけど、実際に金色のメッシュいれている人がいたら好きにはならないよねぇ。コスプレイヤーとか見るとやめてって思う。」

恋愛ゲームの世界にどっぷりと浸かっていると思いきや、くさすぎるセリフや現実味のないビジュアルに冷めるときもあるようです。

現実の恋愛と画面の中の恋愛は全くの別物である

恋愛ゲーム漬けの日々を送っている若者でも、下のフィールドノーツからわかるように現実と二次元の世界にははっきりと線引きをしているようです。たとえ、それが現実ではないとわかっていても、二次元の世界に存在するプレイヤーにとって完璧な恋人は、現実にはないときめきを与えてくれるのです。

(みなみさん)「現実の恋愛とは別物だよ。」と一言。「ゲームの中での好みと現実の好みは違うんだよねぇ。」

(りえさん)「でも現実の恋愛とは楽しむ部分が全然違うよなぁ。恋愛ゲームは絶対にうまくいくし、相手は言ってほしいことを言ってくれるしすべてが完璧なんだよ。」

今回の観察では、恋愛ゲームにはまる若い女性は、二次元の世界と現実の世界の線引きをしているということがわかりました。しかしその一方で好きなキャラの誕生日会を行うというように、二次元と現実の世界が入り混じっていることも事実です。恋愛ゲームにはまる現代の若者は、画面の中の恋人と一定の距離を保ちながらも、現実の恋人であるかのように理想の恋愛を楽しんでいるようです。

こたつに入りながら恋愛ゲームを楽しむみなみさん

こたつに入りながら恋愛ゲームを楽しむみなみさん

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