明治大学商学部  松村真友

明治大学商学部

 松村真友

音楽には様々なジャンルがありそれぞれにファンがいますが、ファンが日頃どのようにアーティストを応援しているかは、ファン以外の人々にはあまり知られていません。そこでファンの行動にはどんな特徴があるのか調査しました。今回はとくにビジュアル系バンドのファンについて、その応援するツールに注目してみました。

 

今回、調査したファンの子が応援している(コレクションしている)バンドは次の通り。

  • 2007年にデビューし2015年秋に解散したバンド、

  • 2012年にデビューし7月に解散が予定されているバンド、

  • 2013年デビューの若い子に人気のバンド

 

ファンの子によると、ビジュアル系バンドの活動時期は短いのも珍しくなく、複数のバンドを応援するか、特定のバンドのみを応援するかは人によるそうです。

 

今回の調査では、次の点を発見しました。

「バンドメンバーのチェキの価値が高いこと」

「Twitterをバンドメンバーが広報活動として使用していること」

「ライブではファンの多くがクロックスを履くこと」

 

ではその様子を詳しく見てみましょう。

ファンの間でバンドメンバーの“チェキ”の価値が高い

ビジュアル系バンドのファンは自分たちのことを「バンギャ」と呼んでいます。 バンギャたちの間ではバンドメンバーのチェキを売買することが頻繁に行われています(チェキ:大きめのレンズがついた、インスタントカメラのようなもの。撮ったその場で本体からカードサイズの写真が出てくる)。

 

 上の画像はファンのツイッターの「固定ツイート」(twitterのホーム画面にでてくるツイート)です。常時チェキを収集していることが分かります。

 

①2016.2.15 また、mixiもよく使います。この写真はファンの子が頻繁に利用するmixiのページです。

バンドに関する項目が色々とあり、ファン同士でよく使われているようです。

「チケット交換・売買」、「バンギャ&ギャ男のマイミク募集」、「チェキ、グッズ売買」、「ツイッターフォロー」、「同行者募集」といったページがあります。

 一番コメントの多いページは「チェキ、グッズ売買」で780近くのコメント。次に多いのは「チケット交換・売買」で、490近くのコメントがあります。

②2016.2.27こちらはバンドのツイッターで「倉庫から発見されたレアチェキを明日のライブで販売します。メンバー指定ができます」という内容で投稿されたものです。

このツイートを見たファンは「メンバー指定!!!なぜ明日なのーなぜ今日倉庫から発見された!!」と興奮していました

 彼女はこのチェキを販売するバンドではなく、違うバンドのツーマンライブに行く予定があり悔しそうにしていました。

③2016.3.13

下の写真はチェキのコレクションファイルで、80枚ほど入っています。(一枚500円~800円。)

 ファンの子によると、「これは雑食用(※色んなメンバーが入っているという意味)で、これとは別にBとLの(ボーカル)さんで埋まったチェキフォルが実家にある。」のだそうです。

 以前チェキについて聞いたことがありますが、チェキはライブ前に枚数限定で売られていてチェキを買うために販売前から列ができるようです。。量産できなく一枚一枚が違うので私が観察したファンの子も集めていて、ツイッターの固定ツイートにも「チェキを探しています。」という内容のものを設定しています。そのツイートを見たファンの人からよく譲って(お金をだして買い取っている)もらっています。

また自分が集めていない他のメンバーのチェキは逆に5枚セットなど条件をつけて売ったりしていることもあります。ファンの子は

「メンバーの誰かが言ってたんだけど、一日で何千枚もチェキを取るんだって。」

チェキだから、同じのはたった一枚しかないんだよ。それで集めてるの。

売り切れとかもあるし、早くからチェキ買うために並んだりもあるよ。」

と言っていました。

 

 以上のように、チェキを販売したりコレクションしたりというのは、ビジュアル系バンドのファンにとっては重要なことです。

 

メンバーもファンもTwitterをよく活用している

 

ビジュアル系バンドのファンもTwitterを大いに活用していることが分かりました。主な 例としては次の行動が見られました。

  • 「チケットを譲りたい人を見つけて買い取る」

  • 「ライブ会場でチケットを譲ってくれる人と会うためにDM(ダイレクトメッセージの略で、他のフォロワーには見られず当人同士だけでやり取りができる)で連絡を取る」

  • 「Twitterのリスト機能(※Twitterのユーザー同士でグループを作れる機能)を使ったファン同士のグループに入っている」

 

また、バンドのメンバーもTwitterを使って広報活動を自ら行っていることから、メンバーの投稿を見てCDショップに行くという行動も観察できました。ファンの子は次のように説明しました。

 

「これは、CDショップに置かれているフライヤー。ビジュアルってメンバー自らでどんどん宣伝とか売り込みするからショップにフライヤー置きにきました!ってツイッターに写真とか載せるの。それ見て、その店に行って集めたり、行ってみたら他にもビジュアルのフライヤーあったりして、もうこんな量よ。このファイル今年集めた分だからね。」

                              (フィールドノートから引用)

 

 ライブ後にアーティストがファンに向けてSNSにメッセージを投稿するのはよくあることです。しかし、ビジュアル系バンドのメンバーは、ただメッセージを送るのではなく、自らフライヤーを店舗に置いたことをツイッターでファンに報告します。これは宣伝効果を狙ったビジュアル系バンド特有のメッセージなのです。

 

 

ライブ中にクロックスを履く女性がとても多い

 

私が観察した日は夜で気温も下がっていましたがクロックス(色はほとんどがピンク)を履いて会場に来ているお客さんが多くみられました。

 

服装はキャメルのコートにフリルのスカートをはいた普通の女子大生から、赤髪に全身黒の男性まで様々でした。中には部屋着のようなジャージを着た人も見受けられました。

 

私が観察したファンの子と一緒に来た友達は、ほぼ金に近い髪色でショートで目のメイクが濃く、黒のスカートにピンクのクロックスを履いていました。手ぶらでいたので荷物について聞くと、駅のコインロッカーにすべて預けたとのことでした。

 

ファンの子は、今回のチケットをツイッターで知り合った人から譲ってもらうようで、「(DMに書かれている、チケットを譲ってもらう相手の特徴を読み上げて)黒のチェックのワンピース、ピンクのクロックス…」といいながら相手を探していました。

 

ここで気になっていたクロックスについて聞いてみると

友達「クロックスは動きやすいから。みんな履くよね。」と答えてくれました。

 

上の写真の右上がクロックスを履いた友達の様子です。

普通ライブでは、アリーナ席だと前の人に埋もれないよう女性はヒールや底の厚い靴を履いていきますが、ビジュアル系バンドのライブでは跳んだりヘドバンをしたりと激しく動いて楽しむため動きやすさを最優先しているようです。

 

どうしてクロックスなのか、スニーカーではだめなのか聞いてみたところ、次の理由があげられました。

  • 「通気性」

  • 「持ち歩きに便利(学校へは靴で行き、ライブ前に持参したクロックスに履き替える)」

  • 「ファッション(ドレスに近い派手な服を着ているとスニーカーは合わない!)」「ファンの間で定着しているから」

 

以上がビジュアル系バンドのファンならではの行動として発見したことです。ライブ中にファン自身も激しく動くビジュアル系バンドのファンだからこそ、クロックスという機能性の高いものを履くことでライブをより楽しむための工夫をしているようです。

 

さて、続いてはジャニーズファンについての報告です。

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